凍雲を夕日貫き沈みけり(福田蓼汀)

 今にも雪になりそうな雲、その酷寒のなか夕日が沈んでいく。
 寒さなんぞに《負けまいぞ》の作者の心意気。
 夕日は凍雲から光を貫き胸中を射る。沈む夕日との対峙、凍雲を貫く落陽の荘厳を見つめつつ自身を鼓舞したのは寒さ極まる夕暮れであった。


 寒月や僧に行き会ふ橋の上(蕪村)

 一幅の絵である。決定された時空に仏門に帰依したお坊さんに出会う刹那、頭上の月が煌煌と照らす。橋の上には水の流れや微かな煌めき囁くような音もあったに違いない。今生の出逢いは無常であるゆえ、この場面を深く胸に刻んだことである。


 ことごとく未踏なりけり冬の星(高柳克弘)

 確かに! 未踏ゆえの広大無限。
 地上の広さの認識ではない、宙への眼差しに気づかされ(わたくし)を知る。
 1対無窮の時空、冬の星、夜空の空気感は凍えるゆえの緊張感を織り交ぜて風情と遠望への夢を見させてくれる。