『雲のうつくしい日に』

 屋根の瓦はまるで水平線のように水平に波打っている。黒(大地)の彩色の上の青空はどこまでも続く。
 その大空を見上げた刹那、あたかも泳いででいるかの亀に出会った一枚。

 亀に見えなくもない雲はすぐにその姿を変えていくに違いないが、今は(空を泳ぐ亀)である。
 異相をゆく亀の天真爛漫、愉快この上ない。

 もちろん亀と断定できるわけではないけれど、愉快にその相を変化させていく晴天の日の雲の不思議。空を寿の態に変える晴れの日。
 《うつくしい》と呼ばず、何と称えよう!

 写真は日経新聞12月4日『「最後の一枚/十選」瀬戸正人』より