澎湃と除夜 の枕にひびくもの(京極杜藻)
澎湃と・・・逆巻く水の勢い、漲る気力。遠く除夜の鐘を聞く深夜、夜が明ければ新年である。(きっとやり抜く)という強い構えの心の中。
すべて古いものを改め欠けたものを新しく創り変えていく。気力は今、眠りの前に信念、祈願として共鳴、響きは胸の鼓動に激しく震える。
立てかけてある年の夜の箒かな(岸田稚魚)
箒を立掛ける・・・来客に早期のお帰りを願う暗黙のしるし。
年の夜、寺では百八つの煩悩を去る百八つの鐘を撞く。然り真似てその意を洒落て見る。作者のいたずら心、ユーモアか。
邪気を打ち払う一掃、年の夜に出来るならば是非、形にして敢行しよう、ユーモアなどでなく本気の仕業である。
寒に入る親しきものに会ふごとく(石田勝彦)
寒さも極まる寒の入り、会うのが辛く会いたくないけれど避けて通れぬ厳しい約束。残酷、でもどこか懐かしい非常な辛苦。
年毎の慣例、凍える寒さ。幾重もの寒の入りに耐え忍んで生き抜いていたわたくし、辛いことがあろうか、親しいとさえいえるこの出会いを満身の力をもって待ち構えている。身体が覚えている郷愁ある寒の入りである。