『現実の感覚』

 この作品を見て、これが現実だと思う鑑賞者は皆無。絶対現実にはあり得ない現象だからである。にもかかわらず『現実の感覚』と名付ける。

 非現実、巨岩が宙に浮かぶ景を現実と括る・・・《感覚》という明記(タイトル)。そう、感覚(精神界)なら許される発言を具象化したもの(作品)。

 胸中ではこの巨岩を宙に浮かすことが可能なのだと空想の原点を知る。カフカも言っている「アルキメデスの点をもって地球を動かす」と。

 精神界の暴挙は静謐な景として鎮座することの証明である。わたくし(マグリット)はわたくしの作品(画)に因って然るべき世界を展開させようというメッセージの提示である。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより