
『旅の想い出』
描かれた空間すべてが石であり、時間は問えないが過去であることは確定の時空である。
顧みる凝固した過去の映像、老齢の男性は本を持つ学究の徒であり着衣から身分の保証された生活者だと思われる。
壁にかかった絵は栄枯盛衰の面影を崩壊寸前の大きな塔(巨大な組織、世界)であり、テーブルの上には蝋燭(人為的な照明)と石化したリンゴ(果物)が置かれている。人間の叡智の産物と見ていいかもしれない。
そしてその前に構える百獣の王たるライオンのかしづく姿。ライオン(無敵、沈黙)の静寂は何を意味するのだろう。王とはいえ《火》を持たない、文明とは無縁のライオン。生命の連鎖は地球を損傷することなく自然に生きるものである。
旅、地球の旅、生きるものの時空への郷愁、共存の履歴が集約されているかもしれない。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより