『世紀の伝説』

 巨大な石造りの椅子、周囲は石(岩石)の散在。遥かに見える地平線。
 全体ブルーの陰影(景色)、巨大な椅子の上に小さな着色の椅子。これは人が座る椅子の大きさだろうか、とすると巨大な椅子は巨大な人(人間ではない巨人、人為が作り上げた偶像、神の坐る椅子かもしれない)

 この大小の落差、目線の高さを人の視線だとすると椅子の巨大さは人為を超える。想像が設えた空想の椅子(地位、身分)であり、神と称するほかはない。この椅子の上に乗る着色の小さな椅子は人間だと推しはかれる。つまり神の子キリスト、仰ぎ見ても見えないほどの高い位置に座している。

『世紀の伝説』の誕生である。世紀を徹す力ある伝説は人々を魅了してやまず、風化されることなく持続している。(ガリレオの地動説を最近認めたという綻びもあるが)
 マグリットは伝説を肯定しつつ、大いなる時の流れに身を馳せている。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより