
この着衣(上着)は石だろうか、無機には違いない。
誰が造ったのか、どの時代なのか・・・すべて不明である。
ただ言えるのはこれより先(未来)、砂の数・星の数を数えるほどの遠い未来(不確定)に、過去の遺物・過去を知る手掛かりとして暫定的に置かれた点としての着衣らしいという推定だけである。
これを見ている人(生物)の存在があるとしたなら、きっとこの物の中にいたであろう《人》を思い描き、恋情の念を消しがたく抱くのではないか。
着衣という(点)が時間の流れ、線をつなぐ。
大いなる時間は持続可能(永遠)なのだろうか。着衣という肉体を包むものを一つの仮定として置く着想は人為・人智のなせる最大の推量であり、マグリット自身の媚薬(淡い夢)でもある。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより