
『宝石』
男の頭部と鳥の頭部が蓋つきの箱の上に対峙している。
そこに会話(意思の流通)はあるか? 閉じた口、眼差しは見つめあっているわけでも戦いを挑んでいるのでもなく有体に並んでいる、置かれている。
双方とも自由のない拘束状態である。箱の下部の大きさを常識的に判断するが、人体に等しいほどの長さを持つ箱かもしれず、双方は相応の体躯を保持している可能性も無くはない。しかし首が乗っている(突き出ている)ということは《拘束》に他ならない。
『宝石』は、硬質、耐久性、希少(少ない産出量)、装飾品である。
長い普遍性を持つこの関係を解く鍵は何だろう。
男の頭部も鳥の頭部も有機であり、宝石の普遍性はない。一瞬の普遍性《不条理》である。
存在するかもしれないが決して存在し得ない存在としての関係性(装飾)である。
写真は『ReneMagritte』展覧会