
『会話術』Espana。
闘牛の死頭部の刺さった刀剣、流れる夥しい血。窓外の景色である。
水面に描かれたEsoanaの文字。
死に至る急所というものがあるが、頭部に刺さった刀剣はむしろ助けているのではないか。横たわる瀕死の闘牛にそっと被せられたマント(布地、カバー)は愛の痕跡である。
スペインに伝わる遊興、死闘ともいえる闘牛の生死を賭けた観覧。残酷、残虐な催し。
闘牛の嘆きに労わりのカバー、これは人為であり、良心と哀惜、償いの証である。
(罪に対する償い)は永遠のテーマである。人は獣に対し優位の意識を捨て畏怖の念と感謝をもって恵みの恩恵に浴さなければならない。
スペインの祭りである闘牛に秘められた敬意と潜ませた謝罪をこの一枚に感じる。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより