何かを究めようとしたこともなく気づけば八十に手の届くエリア。
 ああ、確かに(老い易いのだ)と実感する。実感した時ではすでに間に合わない笑止!

 人生はそんなもんだと達観してしまえばそれで済む簡単な話の中を進行中の滑稽。滑っている、緩やかだと思えばストンと記憶のないまま急落下。
 凡人(凡人以下かもしれないが)として人生を語れる境地にまで落ち込んでいる。もう少しで着地点に届くことを怖れもせず他人事のように客観視する小癪なわたし。

 残念な落ちこぼれ、負の人生…それが何だ。
 勘違いしてはいけない、分相応の人生なのだ。《有難いことこの上ないではないか》と自問自答する愚鈍。後悔の上で胡坐をかいていることを胸に秘めている楚々としたわたし。中身のない矛盾、それがわたしである。