歯は一本も欠けずに残っている。なんでもバリバリ、ガリガリ、齧ることも噛むことも可能である。

 なのに、ひどく疲れているのか歯が浮いたような気がするときがある。頑丈な歯だと過信を戒めているのだろうか…年並に歯も疲弊し労わらなくてはならないかもしれない。

 全体、疲労困憊の態なのだという事実を悟らねば・・・。

 戦艦の沈没、殆んどが亡くなった中で助かったのは三人、その一人が父だった。
「泳げなかったから、何かに掴まっていたんだ」と。
 泳げる人は力尽きて落命したという。

 歯が丈夫だという過信はむしろ危険かもしれない。

 歯が浮くようなお世辞も言えないわたし、歯が浮くようなお世辞も期待できない。