
『選集』
一個のリンゴから馬と緑葉が生えている?奇想天外というより絶対に有りえない類の構成である。
『選集』、この画の中に不条理とする基本的条項、その集合。
ピンクに染まった天と傍らに石を置いた地面。
リンゴが巨大なのか馬が小さいのか基準を解放した世界である。
空と大地、善悪を知ることになる女の食した木の実(リンゴ)、ノアの箱舟において鳩が咥えてきたオリーブの葉・・・。
にじが雲の中に現れるとき、わたしはこれを見て、神が地上にあるすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思い起こすだろう。(「創世記」より)
天がける馬は着想や行動などが自由奔放で何ものにもとらわれることのないさまを現わしている。
自由奔放、それはつまり詐りごとである。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログ