紫木蓮全天曇にして降らず
紫木蓮・・・木蓮、花は半開きで上向きに咲く。
全天曇にして降らず・・・降りそうな気配である。けれど雲の種類にも因る(積乱雲など雲の下が黒いと危ない。鱗雲、羊雲など)
全天曇というのは晴れない重さがあり、うっとおしく陰気である。紫にグレーの背景、絵としても清々しさ明瞭さに欠ける。
降らず、というのは降ってほしいのか降らないでほしいのか、読み手を迷わせる。
上を向く志、しかし全天曇である。突き抜けるような青を臨むが、とりあえず雨は降らないで居てくれる。
春の憂い、じりじりとした焦燥感。
《全天》と書く。点に過ぎないわたくし(作家)、天を仰いだその距離間、空気感が光る。
※目連(釈迦の十大弟子の一人、神通力第一と称された。目健蓮・モツガラーナ)であれば神通力で何とかしてくれそうだけれど、自然(宙)の律は厳しい。