『エルノシア』

 エルノシアって何?
 森の樹林を真正面に見て圧縮し、建屋(屋根と窓がある)の形に切り取っている。草原に突如出現した巨大な壁(平面)は《何を隠蔽するものか、何を守るものか》が判らない。

 とにかく向こうへは行けない、相当な威圧感、高い擁壁である。
 何かを隠蔽保護している、相当な強固さを持つ守備体制である。

 高い位置にある小さな窓は、何だろう。此方からは覗けないが、建屋からは覗けるに違いない。見せることを拒むが外界の様子も気にかかるという態。


 マグリットの精神ではないか。誰をも入ることを許さない断固として!(しかし世界との調和を乱すものでなく、小さな窓から気配だけは察知している)

 マグリットの世界(精神)には入口がない。しかし遠回りしてたどり着けば左右は解放されている。
 理解者だけとは密通を許さないものではない。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより