父の弟(八男)である叔父は特攻隊員だった。
 出撃に際し(髪の毛と爪)を送って来たという。死を覚悟した突撃、極度の緊張のなか、出撃予定の数日前に終戦になった由。

 ・・・。

 叔父は優しかったが父同様酒飲みだった。
 定年になり故郷の山梨に帰ったが、お葬式に見た叔父の部屋は、まるで戦中の様相を呈していた。叔父の部屋に張られた戦争の写真、特攻隊は然り、戦闘機、戦艦の数々。総てモノクロで大きく引き伸ばされた写真は部屋中を被っていた。
 叔父はこの写真の中で来る夜も来る夜も眠っていたのだと思うと胸が震えた。

 酒を飲まずにいられなかったのかもしれない。