高齢になればなるほど周囲の人の残念な状況に遭遇する。
(仕方がない)と目を瞑っても虚しさが胸を衝く。

 「次はお前だ」と声がする。

 年寄りの気持ち・・・こんな思いだったのかと父母を思い泪する。
 せっせと片付け処分するわたしを見て「わたしもついでに片づけて」と病身の母。狭い家の中で空間が大事とばかり、どしどし物を捨てていた若いころ。

 なのに今は棄てられない。好きで買った生地が山のようにある、積み上げられた下にある物は忘却の彼方、思い出されることもなく眠っているに違いない。雑多な家の中を片付けられない、愛しくて切なくて購入した時のときめきを断ち切れない。
 死んだら、いっぺんに片づけて!
 かつて業者に依頼する遺族(子供)を見て嘆いたのは昔のこと。わたしが死んだら即、その日の内にも処分して、決して恨んだりしないから。

 ただの未練、生きている限りは未練にすがっているもんだと気づいたわ。だから・・・。