『心のまなざし』

 地上に立つ建屋。
 バランスの均衡は困難、否、有りえないほどの高さ、横拡がりな建屋。
 屋根にある煙筒、各三個の設置。この吹き抜けは何だろう。最上部(六階?)でも火を焚くのだろうか。怒りの排出口かもしれない。

 重力を考えてもこの建屋は不可であり、耐震性は皆無、揺れればすぐに倒壊の危機は免れない。
《精神》の構築物である、《まなざし》ということは、外界を眺める装置でもある。

 ひどく不安定で、つみ重ねられた上階へ行くほど巨きくなっている(遠近法)。窓の開閉はなく閉じたきり、入口の過小さも他人を排除、受け入れないという姿勢である。

 孤独で不安定、少しの衝撃でも大きな揺れ(動揺)を生じる組(しかけ)である。

 太陽(かなめ)は、どこにあるのだろう。真上のようであるのに、地上には長く引いている影がある。
 背後の白い球体(大いなる真実)も空間設定は同じである。太陽の光は絶対(肯定)を現わし、逆らう影は否定だろうか。

 写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより

『心のまなざし』は不安定、かつ怪しい雲行きの中にあり抱いた白い球体(真実)は背後に押しやられている、否、監視しているのかもしれない