
大砲の突先は空(宇宙)に向いているように見える。もちろん並べてすべてに向かい自分の中の想念を打破し無窮の空へと開放されていくことが狙いの的であることは間違いない。
壮大に見える部屋(マグリットの思索、究極の想念)は宇宙から見れば点どころか消失するほどに小さな微塵に過ぎない。
この思惑(観念・欲望)に縛られた日常は《自然・無限》の中の一点に過ぎない。人間の叡智も(流言や錯視)に惑わされながらやがては方向を見失うかもしれない、破滅である。
マグリットは手だて無き手だての末、無窮の天然に還る方策を用意した。
幻想の中の《自由》への突破は大砲の威力《破壊》をもってしか成し得ず、生きることは自由の入口に留まるしかないのだという逆説でもある。
写真は『ReneMagritte』展覧会カタログより