身の回りの出来事が霞んで見える、有るような無いような、不確かだけど、確かに事実らしい。

 義兄の余命を報らされ、義姉は多少認知があるので施設に入所するという。認めたくない現実の苛酷。
 大工の息子である義兄は壁紙の張替はもちろん床の全面張替を為し、写真も評価される腕前であるのに、長として威張ることなく静か。
 三月に尋ねた時、少し先の神社まで歩くのがやっとだと告げられた。(まさか、冗談)と受け流したけれど(そんな状況だったなんて)

 こんな淋しい状況を直視できない。
 目は老化で霞んでいるけれど、気持ちも霞んで現実を直視できないでいる。