『本来の意味』

 本来の意味、本来とは何だろう・・・あるがまま、文字通り、そのまま。

 薄い黒地の縁取り、画面を✖で仕切ったそれぞれの時空。✖は否定なのか、単なる仕切りであり識別すべき別種なのか・・・。
 仮に四つの空間を意味づけると、ブルー(宙、海)・暗緑(自然)・煉瓦(人智/火と土と水)・corps de femme (女の身体/人類の誕生)という案も浮かぶ。

《本来》、原初、源への洞察は《存在とは何か》にゆきあたる。指示したものの概念、記号化された四つの画面の意味するものとは・・・問いであり答えであるような四つの画面。
 四つの画面はそれぞれの存在(誕生)であり、囲む(あるいは仕切られた線状)黒色は(死、滅亡)を示唆しているのかもしれない。生と死の交錯、混沌を客観視した世界観。否定であり肯定であるうえでの大いなる肯定が『本体の意味』自体ではないか。

 作品の縁や✖の黒色、青や暗緑、煉瓦の茶は並べて黒に近く、corps de femme (女の身体)の時空(面)だけが白であり、浮いている。女の身体(人類の誕生)の尊厳。
 このバランスこそが世界(原初)への敬意であり、『本来の意味』に相当するものではないか。

 写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより