
『新聞を読む男』
四っに分割された画面は四つとも同じ部屋の同じ設えである。
新聞を読む男のいる場面だけが違っている、存在、不在、不在、不在・・・。『新聞を読む男』というタイトル、新聞を読む男の場面だけがアップされて然るべきではないか。にもかかわらず四分割の一つに浮いたように鎮座する新聞を読む男の場面。
新聞を読む男、つまり新聞を読んでいるばかりで回りへの関心が希薄、皆無ということの強調だと思われる。中年であれば家族もいるかもしれない男の背景は空虚である。
孤独を意に介さない快活さもうかがえる。新聞(社会の動向)を読むことの英気は周囲への配慮や家庭の一員である意識の欠如が潜んでいる。
新聞を読む男の心理ではない、その男を見つめる近親者(息子であるマグリット)の眼差しに他ならず、父親との距離を描いた作品である。
写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより