
『恋人たち』
生まれ育ちも異なる二人が魅かれあい《恋人関係》になる。
二人にはそれぞれの過去(時間)が内在しているが、見えることなく惹かれあう刻がすべてである。
過去・現在・未来・・・共有する時間の燃焼は過去を隠蔽し未来を約束しない。しかし、確実に濃密な時間に酔いしれる恋人関係にあるという時間の揺れ(未來)は誰からも、本人たちさえ知ることがない。
恋人たちは時間を共有しているかに見える、愛という絆、欲望という本能に於いて。明日(未来)は見えず今崖上にあるとしても気づくことはない。
恋人という最高の他人が未知の膨らみ(闇)を仮面の下に隠していることなど本人でさえ知らない魔の時空こそが『恋人たち』の本質である。
写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより