『狂気について瞑想する人物』

 男は異様な眼差しで手前(空間)を凝視し指差す仕草をしている。手に持つタバコの火は(時間)であり、刻々と刻まれていく自分の時間である。

 人生を賭けて見つめている対象は何か・・・近年行われたX線調査によると右の空白には左の男を凝視する男が描かれていたという。
 凝視する空間(無)に凝視する男(同一人物)が描かれていたということは、自問自答、自身への詰問、問いかけである。敢えて塗りつぶしベタ(色面)にした空間にはより深い闇が広がる。

 見えないものを凝視する、これを狂気と呼ばずして何であろうか。
 見えないが(存在するであろう世界)への追求・恋慕・確信は、《狂気》に等しいかもしれない。

 写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより