『女盗賊』

 黒衣の女盗賊らしき者が板で作った箱(棺)の蓋を押さえている。中には死者がいるに違いないが、それを封印し決して開くことのないように抑えている。

 死者は現世からその姿形を盗まれていくのだろうか。死は姿形を霧消する、それは来世(冥府)に送り届けるために盗まれたのだという。

 さらに言えば死者は死んだのではなく盗まれたのだと。男によって姿を盗まれたのではない。(これは性的な匂いの排除)
 母は母(女であること)によって、現世から姿を消失させたという証明であり、マグリットの聖なる祈りである。この確信を留める決意、表明はあくまで個人的な声明である。

 写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより