
精神である。薄い紙状(平面)のものを切り刻んで人間をイメージし、連続的に開けられた穴は四方八方に連鎖を続ける拡がりを有している。
直立しているが床面は坂であり下降している。
その上に立つ男の片足は床面にのめり込んでおり、姿勢を崩さないために非常なエネルギーを消費しているはずである。
壁面はブルーの単色でつかむべきヒント(具体的な事実)は何もない虚空である。その壁面(空間)と立地する面とは影により明白になる隔絶の距離があり恐怖の時空に違いない。
しかし全て二次元的表現(素材)のため、危機感は表面化しない、絵空事・・・異空間の平静は鑑賞者を震撼とさせないが、具体性を持つ時空に置き換えれば相応なエネルギーをもって留まっていることが判明する。
『喜劇の精神』とは転倒落下を身に引き受けつつ踏ん張る精神であり、死に物狂いを隠蔽しつつ観客を和ませる高い技術と凄まじいエネルギーの賜物である。
写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより