
『一夜の博物館』
一夜の博物館、一夜の夢(自然、歴史)への懐古。
四つに区分けされた空間、内部にあるマグリットの想い。
切断された手首、完熟の果実、石(鉱物)、永遠に連鎖する穴開き模様で遮蔽された闇。
箱(ケース)は極めて簡素、光は上部からの照明。何を伝えようとしたのか・・・。
《時間と永遠》
切断された手は何を意味するのか、血の流れはなく置かれている。罪の象徴だろうか、断罪。
鉱石、何をも想起させない形態の無言は長い時間、億年の時を密かに内包している。
《覗く》ことを誘引するかの人為的な穴は永続的な連鎖を刻んでいる、叡智の歴史、時間だろうか。秘密めく混沌は過去か未來かを教えない。
一夜は閃きの現時点(現在)なのか、過去の時間の集結なのか、あるいは未来永劫を意味するのか。ケースに収められた四つの空間に設置されたそれぞれは語ることなく《存在》するだけであり、一夜にして空無に帰す。存在するが存在を失うものとしての博物館を描くことで永遠に時間を延ばされ記憶される。
もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。(「マタイによる福音書」より)
木の実(善悪を知る木の実)だろうか。(「創世記」より)
主なる神はとこしえの石だからである(「イザヤ書」より)
紙はただひとり不死を保ち、近づきがたい光のなかに住み、人間のなかでだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。(『テモテへの第一の手紙』より )
マグリットは神を想い「聖書」を客観視している。語らずして答えを見出そうと自分に宿題を課している・・・答え無き煩悶である。
写真は『Rene Magritte』展覧会カタログより