『彼女の独身者によっえ裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)』

 偶然と必然、存在と非存在、有るが無く、無いが確かに目の前に置いて有ることを証明する作品である。

 彼女の独身者とは不明な形容である。人は元来独身者であるが、男女が結婚することで独身者の枠を外れるという通念が一般的である。
 独身者たち、と複数になっている。その独身者たちによって裸にされる花嫁などというものは想定外であり、状況の把握は困難である。離散した集合体ともいうべき、意味の破壊を狙ったデュシャンの鋭い感性は常識的な情報の集合では計ることが難しい。

 作品は具体性を持っているが、具体的な意味をすべてぶち壊す意図を持って制作さてたものばかりを配置したものである。

 意味の破壊は新しい意味(価値観)を生み出すだろうか。鑑賞者に突きつけられた《大いなる問》であり、凝視を強要するものである。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより