『フレッシュ・ウィドウ』
 ミニチュアの窓:青く着色された木、正方形のなめし皮8枚、木製の板台。

 単にミニチュアの窓である。室内を思わせるものは無い、つまり内も外も同等の空間である。
 窓は内外を透して見るための造作であるが、ガラス面であるべき箇所には不透明(遮蔽)のための黒いなめし皮が貼られており、内外どちらからも窓の向こうを見ることは不可である。

 要するにどちらからも推し量る術は無く、閉じられた窓である。それを『フレッシュ・ウィドウ』とタイトルしている。
 (新しい未亡人)、ここは(死)が介在するということであり、パートナー(男・夫)は失われ、女は未亡人になったということである。

 小さな閉じられた(秘密)の窓は何を意味するのか。
 男を失った女(未亡人)は男を消失し、新たに誕生した女になるというこであり、両性という内実の告白である。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより