
『ボトルラック』
レディ・メイドである。確かに製品として通用したものを作品として提示する。少しの疑惑、不審が過る製品に対し冷静に着眼したデュシャンの皮肉な眼差し。
不要の長物、斜めに架けて瓶の中身を空にするという発想の不確かさ、完全に空になるには時間がかかり過ぎ、再使用には不衛生である。にもかかわらず堂々として美しいとさえ言える完成された形態。実用化された製品が非実用的だと判別されるのに時間はさほどかからなかったに違いない。
製品の内実を理解するにつれ鼻白む空虚(無駄)。肯定し否定する間の揺れは微妙である。存在の虚実は直接目には見えない。淘汰されるべく衆知の理解を得られるまでの時間には差異がある。
しかし、《絶対に》ということは決してなく、完全に否定される物でもない《曖昧な領域)というものは有るべくして在るのではないか。
微妙な領域に焦点を当てた作品提示である。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより