
横須賀美術館の前にある Valleys 、この作品を通って美術館に入るとき不思議な感覚に襲われる。
「ここはどこ?」という揺らぐ感覚である。冷たい硬質の金属板が空に向かって広がるように設置されていることで、無限の広がりを感じるとともに無限の地底に落ちていく感覚である。鉄板はフラットであるがよく見ると点々と抵抗めく引っ掛かりがある。
仮にそれを時間と思えば記録(歴史の痕跡)にもなりうる抵抗である。
時間は見えない、しかし記録は確かに存在したに違いない。存在したが消失してしまった過去の記録への追慕の具象化、もちろん知覚しうる形態ではなく手触り(感触)に訴えるものかもしれない。
連続・・・続行され続けるという認識は物理的に置換しうるものだろうか。
循環・・・方向というものを考える、深い流れである。
未知・・・想像(空想)は疑似現実として証明不可だと断言できるものに違いない。
ここを通るときはどうしても目を瞑り自分の曖昧な位置について考えてしまう。
写真は若林奮ーVALLEYS/横須賀美術館