
所有・雰囲気・振動ーSLIT
基点は自身である。
この何枚も重ねられた方形の大きな鉄板は何を意味するのだろう、壁面に立掛けられての設置(床面に置かれていない)である。非常に重量感(厚み)があり密である。
中央に描かれているのは鳥だろうか・・・浮上あるいは飛行する物体、周囲(時空)に溶解するかの儚い存在は薄く明確な輪郭を持たない、しかし確かに存在することの確認。
自身と鳥(鳥の眼差し)の距離、近く遠く消えるほどの巨きな空間を兆している。
この作品との対峙には震撼とさせるような質感(材質の持つ重量感と儚いまでの緑の線描)があり、同時に作品を目撃する鑑賞者自身の軽い振動(浮上感)を導く企画がある。
写真は若林奮『飛葉と振動』展・図録より