目前とは何か・・・五感を持って目前の景色を体感推測する試み、存在を体得することへの挑戦である。
 見えること、見えないことを併せた世界。自身の中での取捨選択、つみ重ねた日常における情報の内的選択は極めて個人的な計算に寄るしかないが、一般的な事実(構築)を私的な解釈で清算した光景である。
 そぎ落とした要に彩色はなく個々に感じ残存した彩色は密かに内包されるものと思う。存在の希薄、あるいは重厚は自身の感性の中で揺れつつ定着するものではないか。

 あくまで自身(個人)の執着する答えとしての景色である。

 写真は若林奮『飛葉と振動』展・図録より