1-1-6

 頭・胸・腹、三対の足・・・昆虫であるが、頭部にあるはずの触覚がない。腹の後部には何か不明な塊(圧)があり、床(地面)に伏している。

 しかし羽があり本来飛行を可能とするものであるが、触覚の欠如あるいは後部の不明な塊(圧)によりそれを可能としない。

 飛揚…飛んで高く上がるはずの蝉も飛行の条件を外せば重力により地上に伏すしかない。
 身体の持つ能力の欠如は存在理由の剥奪であり、存在しているが存在を可能としない態である。

 しゃしんは若林奮『飛葉と振動』展・カタログより