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 見えないもの、あるいは見えるものを複合的に感じうるものとして触覚に耐えうるものに還元している。

 複数の穴は順に並ぶ集合であるが球体の中で特別な意味を付与されていない。削られた跡もあるが、これらはすべて人為的な工作であり、自然風化とは異なる。

 存在に対する身体的な応答を重量のある物質で提示する。鉄球は傾斜を持ってとどまっている、つまり不変ではなく衝撃(風雨や揺れ)に反応するものとしての設置である。

 石(鉱石)のように普遍、時間を超えて存在し続けるものへの郷愁に、現時点での人為を交錯する、いわば交感ともいえる作業をここに見るのである。

 写真は若林奮『飛葉と振動』展、カタログより