
「人体レリーフ」
三つの青い人体像、首をちょっと前に突き出し両手は握りこぶし・・・つまり今にも動き出しそうな、否、動いている一瞬を切り取った人体像である。
壁面に設置される人物像は通常静止状態であるが、飛び出し躍動感そのものを提示している。まさに生き生きとした状態であるが、にもかかわらず、裸体は青く着色され本物の人体から遠ざけている。
人物を見せているのに人物ではないという差異、この埋められない距離をどう理解したらいいのか。
物体ではなく明らかに生命体を想起させる。しかし、赤い血の流れる生命体を拒んでいる。束縛でもなく自由であるが、どこかに憤懣が潜んでいる。赤裸々に腹の底から何かに向かい抗議している。抑圧された不自由への抗議、人としての真の自由に覚醒し叫びをあげているように見える。
強い叫びが内在する、体制への抗議は沈思黙考の呈である。
写真は日経新聞2022.10.22より