朝の光のなかで身を乗り出して前方を見ている、何を見ているのだろう。
 この絵の景の向こうには何かがある、見えない何か・・・向こうからやってくるのを待っているのかもしれない。性急な雰囲気にも見えるし、ずっと長いこと待ち続けているようでもある。

 真偽は不明だが、とにかく前方の何かに気を奪われていることは確か・・・。(さあ、これから)という未来(今よりのちの時間)への気持ち。
 光景は日々何の変哲もない林の中の家、その室内のガラス窓から中年女性の眼差しの行方が焦点である。この画の空間を押し広げる彼女の眼差しに鑑賞者は思わず見えないゆく手を想像する。画面を飛び出し大いなる草原の彼方を妄想する。

 郵便、新聞、訪問者…鳥の群れだろうか。もしかしたら汽車が見えるのかもしれないし、果てしない水平線が広がっているのかもしれない。
 この作品は彼女を軸に世界を語っている。内在する世界との会話を彼女の眼差しの先に見ている。見えていないもの(世界)を鑑賞者の胸に広げる作為がある。

 写真は『EDWARD HOPPER』画集より