
ホッパーの画集を見て怖いほどの共感に震えるのは、自分の中の孤を刺激されるからである。
仲間、集団とはかけ離れたところでの心の叫びがある。女性の何かを見ながらの心の動き、極めて個人的な動揺を垣間見る、確かに微妙に衝撃を受けている振動が伝わってくる。吉凶は不明であるが、慟哭や狂喜にまでは至らない範疇の静かな響きは誰にも知ることは出来ない。
その小さな心模様を拾い上げ、目撃者をさりげなく配置する妙。ほかの乗客は知る由もないという隔離、否、集合。
車中という空間に展開される沈黙、記録されることもなく、時空に封じ込められやがて霧消していく時空の刻み。
心の襞は誰にも見えない。
この設置、閉じられた空間のなかでの一コマ、何事も起きていない平和、安らぎの時空。しかし、人はそれぞれ向かうべき問題を抱えながら、ひと時、同じ場所に居合わせている。
袖すりあうも他生の縁・・・関係は見えないが繋がっている。一寸先の展開すら予測不能であるけれど。
写真は『HOPPER』画集より