
車中である、心地よく差し込む窓からの光。中年の女性は本か何かに眼差しを落としている。つくづく眺めているという風でもある。日差しに背を向け沈み込んでいる、少なくとも明るく開放的という景ではない。集中し、考え深げである。
それを何気に見ている左側の席の女性、たぶん知り合いという関係ではなさそうである。
観察する女と観察される女・・・特別な感情(意味)があるわけではないが、車中ではこうした関係性も珍しくない。ここで出会い、少し先で別れ、再び出会う可能性は低い。(もちろん偶然が重なれば必然となる方向性はないことはない)
人の流れの奇遇と日常、乗客はそれぞれ降車駅を脳裏にかすめ、思いを重ねている。
それぞれの人生が一つの空間に収まる走りゆく時空、車中の平穏もまた刻まれた人生の一ページではある。
ホッパーのさりげない日常に潜む《間》は曰く言い難いものがある。
写真はホッパー画集より