あきさめや肌つつみゆく旅衣

 秋の雨はことさら寂しい。
 すでに秋という季節に移ってしまった今、旅の余白、季節の寂寥がひた押し寄せてくる。
 むき出しだった腕や胸のあたりに衣を当てずにはいられない寒さが忍び寄る。背にかかる細い雨、肩に寄せた男の手もなく旅の途中の思い出ばかりが懐かしく肌を刺激する。

 つづく未来への眺望など秋の雨に沈み、霞んで見えるのは侘しい我身をつつむ旅愁ばかり・・・。
 秋の雨はことさら淋しい。