『プロフィールの自画像』
 黒色の紙の上に色紙を貼付。

 ゲシュタルトの心理学、一つの画像から二つを一度に認識できない。一方を見れば、他方は見えない。
 プロフィール(人物評)であり、わたくし(デュシャン)はこのようであるという自己紹介。

 わたくしの側面、一方を見れば他方は隠れる。隠れた方を主張すれば一方は消失せざるを得ないという関係。(本当にわたしが見えるのか)という問いでもある。 人間の多面性、特に性に関わる根源的な認識の複雑さ。各存在し、各生きている。人権の揺らぎ、獲得すべき権利と耀きは全ての人に平等に与えられた権利である。
 沈黙のうちに語るデュシャン、性の解放への渇望。
 人類の根源への眺望を果たすことで探求を極めようとしたデュシャン、内密の工作は常に一方を隠蔽している。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより