図版が手元にないので説明しにくいが、この木製ドアの奥があり立体的に世界が繋がっている。
 木製ドアの内部の秘密は大股開きの裸婦が灯りを持って草原に寝転んでいる景がある。

 女性、陰部(子が生まれる)、ガス燈(人智)、池(水)・・・原始人類の謎である。子は女性からしか誕生しないが男性の精子が必須である。
 この茫漠とした条件を一つの景に具体化している。

 人(生物)とは何か、如何に継続を果たしてきたのか、落ちる水と照明用ガス…水と空気と光、すなわち太陽の惑星としての地球を極めるという実験的操作に執着している。答えは永遠の謎かもしれないが、明らかな物理的条件を提示した作品である。

《覗く》という視界しか垣間見ることのできない不確かな世界、必ず存在したはずの根拠への深い洞察である。

 写真は『DUCHAMP』TASCHENより