
『回転ガラス板(精密光学)』
ペイントされた5枚のガラス板がメタルの軸を中心に回転し、1メートルほど離れて見ると一つの円が現れる。
5枚のガラス板を回転させ離れた場所で見ると一つの円にしか見えないということである。
本来5枚のガラス板である、しかし回転という操作で一つの円に集約されて見えるというのはごく当たり前の物理的見解である。
物質(状況)が他のものに転移する。
存在と光、そして可視の錯視。
回転させることで、5枚のガラス板の存在は一つの円に転移・変換する。一つの円から5枚のガラス板を探すことは難しい。確かに存在しているという確信的心理が一つの円に変貌する状況を揺らし、変化を学習させる。
物理界と精神界の溝は実験によって肯定される。
有る(5枚のガラス板)が、回転の操作によって無い(5枚のガラス板は一つの円の変換される)としか見えないのである。
目は以前(それより前)を見ることは出来ない。確証を立証させる根拠は精神界では欠けている。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより