
『埃の栽培』
白黒写真、デュシャンの要望に応じて埃が積もった状態のままでマン・レイが撮影。
まさに埃の写真である。任意、特定されない場所、放置され見向かれもせず、ただ在るがまま自然に降り積もった埃の態。
長い時間であるが、短い時間ともいえる時間である。人の手(足)の加わらない時間、空白の時間であるが有機の埃という物質が空中から微量に重力に従って下りてきた結果の証明。
何もない無の時空である。しかし、ほんとうに無の時空などというものがあるのだろうか。この埃が証明している。確かに存在する時間は流れていたと。
《無い、が、有る》《有る、が、無い》
物理界と精神界は互いに絡み合い(存在)を明らかにしている。空白や無の否定である。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより