診察を待つあいだに前の椅子に腰かけた方と話した。
「明日の運命は分かりません。わたし長野県から来たんです、三浦の老人ホームに。夫と二人でという予定でしたけど、来る直前になって夫が急死いたしましたので、やむを得ず私一人で来たんです、でも幾日もしないうちに転倒して背骨を折りました。ですから今日はホームの職員の方の付き添いでここに来ているんです。
長野県にいたときは登山が趣味でしたのに・・・。三浦に行けば海で遊べると期待してやってきたのにこの始末です。」と嘆いた。
三浦のホームは高級で有名、わたしなんかにはとても入所は叶わない夢のホームと聞いている。
嫁のお産のお見舞いに静岡まで出かけたとき、もったいないから在来線で行ったけど、お嫁さんに「富士山は見えました?」って聞かれ「どうだったかしら」と答えたわたし。復路は新幹線で帰ったら見事な富士山が見え、倹約したことがばれました」とその彼女に伝えると、
「時間が一番の贅沢です、ゆっくりなさって良かったじゃありませんか。」とにっこり。
これからの時間、明日はどうなるか分からないけど贅沢な過ごし方が出来たら…と思う。