惜しみなくなまめき光ろふ月夜の葉

 月夜の葉が光るのは受け身である。自ら光っているわけではないけれど、この大いなる宇宙の片隅で一葉は今、月の光に照らされている、輝いている。誰も気づかない夜の華やぎ、風が吹けば踊りさえする闇の怪しさ。
 生を享受する、この楽しさ。生命体であることの胸の高鳴り。何を惜しむことがあるだろう。身体の奥から艶めくこの躍動、享楽は月夜の光のなかで踊りつつ光る。一枚の葉は…わたしの化身。

 月夜の葉の発光、華やぐ胸の内は誰も知らない。