
この作品のどこに焦点が有るのか分からない。どこもきちんと描写がなされており、中心部分には光も当たっているが、納得できかねる。
陰影、丸み、球体、円柱、ねじ・・・何かしら現実に即した見覚えのある物の連結であるが、上下左右に有効な関連性を見出せない。バックは暗く不穏であり明確な指示物は欠如している、故に設置の場所が不明なのである。
一見生産性のある有効な機械の一部に見えないこともないが、連結・接続部分に意味を見出せない。
何かを描写したのではない、あたかも存在しているかの仮の組織は、解体が可能であり、二次元において隣り合わせているに過ぎないつながりである。目的を志向しない作品の真の目的は何だろう。
アッサンブラージュ(寄せ集め)とも異なる無目的な集合、あるいは解放。デュシャンは明らかに否定的であるのに、いかにも肯定を装っている。在るがままの静かなる解体、この沈黙を揺さぶれたら・・・と思う。
写真は『DUCHAMP』TASCHENより