つまみたる夏諜トランプの厚さ
つまみたる…捕獲の網からつまみ出した夏諜、模様の美しい大きな羽をつまんだ時によぎる歓喜の感触。
トランプの厚さ。ゲームの最中、トランプを一枚抜き取るときのドキドキ感、親指と人差し指で引き抜くときの感触は厚薄を超越する。
元来、蝶々の羽を厚いなどとは決して表現しない、極薄だからである。にもかかわらずトランプの厚さに結び付く感触は《夏諜》を得た歓喜によるものであり、微妙な差異の擦過は夏諜をつまんだ歓喜を肯定するもの、そこに《厚さ》は確かにあったのだと思う。
鮮やかな彩色の夏諜は、トランプの厚みに匹敵する確かな感触をもたらしたに違いない。