ことごとく未踏なりけり冬の星

 冬の星、夏祭りに見上げた星ではない。凍えるような寒さの中ただ一人、何気なく仰いだ冬の星である。
 自分の存在に対峙している星の瞬き、子供ころから親しんだオリオンはじめ懐かしささえ感じる漠とした宇宙空間の怪しさ。
 宇宙は138億年前に、星は135億年前に誕生したと聞く。この世界との距離感、計り知れないほどの膨大な時間・時空。過去から現在に至るまで接続しているこの関係性の奇跡に震撼とする。

 ごく普通の表現、当たり前のやさしさに包まれた俳句に拡がる神秘の時空。「星の王子さま」が小さな星から眺めた世界につながる普遍性を秘めたこの一句。
 心に響いた一句の重さに震えている。