お墓参りも済み、坊さんも見えたし、というところで夫の実家に行くのが常。
 と言っても年一度、たいていは春の彼岸の訪問。ところが私の入院で今回はお盆ということになり、一年越えの訪問になった。

 義父は大工の棟梁。義兄がその血を継ぎ、キッチンや洗面所の床を見事に張り替えたのを見て驚嘆したのは、わずか一年前。

 上がってみると、その義兄は簡易ベッドに横になっている。
「どうしたの、具合が悪いの?」
「ううん、何でもないんだ」とゆっくり起き上がった。眼の下の黒い影(くま)・・・「眠れないの?」「いや一日中寝てるよ」(ぐっすり眠れないのかもしれない。覇気がない)

「ごみを出すのに神社まで十メートルばかり歩くのがやっとなんだ」という。昭和11年生まれ、小学校の時、家で一人で寝かされている赤ん坊だった弟(夫)が心配で学校から駆け戻ったという義兄の衰弱には胸を衝かれた。

「でも朝は草を取って袋に詰めたよ」と義兄。確かにフェンスの脇に袋が三つ。
「ああ、これは婆ちゃんがやったんだよ」と義姉。(義母はとっくにあの世の人)
「ええっ!」
「ほら、ベッドで横になっているの見たでしょ」「・・・」

 ああ年を重ね、老いていくってこういう事? 我が家とて事情は切迫しているに違いない。