蜷(か わにな)が生息していなければ、蛍は出ない。
わたしの居住地でも転居してきたころには蛍が飛ぶのを見ている。(ああ!)と感動したのもつかの間、数年のうちに蛍を見なくなってしまった。
「子供のころはね、笹竹で掬うようにして捕まえ、蚊帳の中に入れたものよ。でも朝になると臭かったわ」と昔からの人は言う。
「台風の後は川にウナギが浮いて出たのよ」とも言う。
ここで生まれ育った人たちは田んぼが住宅地に変わったことを淋しく思っているに違いない。蛍の出る里は幻になってしまったのだろうか。
近隣の川では住民の努力で蛍が蘇っているとも聞いている。